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竹中工務店 実用ビルを改修、ZEB化達成

2017.05.22 17:26

年間収支でエネルギー消費量を創エネが上回る
 竹中工務店(大阪市中央区)は17日に記者説明会を開き、昨年5月から本格運用を開始した千葉市中央区の「竹中工務店東関東支店」のネット・ZAB化(再生可能エネルギーを加えて基準一時消費量から100%以上の一次エネルギー消費量削減)実証実験において建物全体の年間エネルギー収支がプラスを達成したと発表した。
 実際に使用している地上2階、延床面積1318㎡のオフィスで「居ながら工事」によって改修を施しZEB化を実現した。従来のオフィスビルは「ユニバーサルオフィス」で設計されており、建物全体に空調・照明などのすべての機能が同一に配され、間仕切りで用途を決めていたが、今回は「必要なところに必要なものを配置する」ことを重視。約700㎡の執務空間をミーティングスペース、ワークプレイス、ファイリングスペースの3領域に分け、それぞれの場所にふさわしい室内環境を構築した。
 導入した主な省エネ技術として、高断熱性ガラスの内側にもう1枚ガラスを設置してダブルスキンに変更。ブラインドを設けて自動的に採光量を調整する。LED天井照明が机の照度を300ルクスに保ち、タスクライトで明るさを調整。着席すると自動点灯する。オフィスフロア全体の空調は地中熱や太陽熱を利用した放射空調で快適性も向上。さらにワーカーそれぞれの代謝量等にあわせた快適制御も可能だ。また屋上の太陽光発電の電力を常時消費し、余剰時は備蓄リチウム電池に蓄電するか地域に供給する。これらのエネルギーはクラウドコンピューターを活用したエネルギー&ウェルネスマネジメントシステムにより、リアルタイムにコントロールできる。省エネだけでなく人にやさしいオフィス空間を目指した。
 1年間の運用実績を通じて、建物全体の断熱性を高めることで外装負荷が大きく削減され、年間通じて窓回りでも温度差のない快適な室内環境を実現できた他、放射空調による空調エネルギーの大幅削減などの効果が確認された。その結果、年間エネルギー消費量は空調・換気・照明、コンセントを含めた建物全体で403MJ/㎡となり、改修前と比べて71%削減。太陽光発電による創エネルギー量は417MJ/㎡を記録した。 
 今回は郊外にある地上2階建ての低層ビルで、都心のオフィスビルとは条件が異なるが、設計本部プリンシパルエンジニアの高井啓明氏によると「狭い敷地に建つ高層ビルでもZEB Ready(再生可能エネルギーを除き、基準一時消費量から50%以上の一次エネルギー消費量削減)なら十分達成可能」との見解を示し、今後はクライアントのニーズを満たすレベルでのZEB化改修工事を提案していくという。


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