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オプティマイザー 需要かにもメリットある

2017.04.17 17:00

「ネガワット」取引市場整備に向けて
 エネルギー事業を展開するオプティマイザー(東京都港区)は先月30日、独自ネガワット取引市場創設に向けて、そのシステムを担う新世代クラウド型EMS「エネパEMS4.0」の開発、展開の開始を発表した。
 「ネガワット取引」とは企業から家庭まで需要家の節電量に応じて、各電力会社がそれを買い取るもの。従来より制度としては各電力事業者の取り組みとしてあったが、2015年11月26日開催の「未来投資に向けた官民対話」において、安倍晋三首相が「節電のインセンティブを抜本的に高める」策として「家庭の太陽光発電やIoTを活用し、節電した電力量を売買できる『ネガワット取引市場』を2017年までに創設」を明言。今回のオプティマイザーの発表は、同社が有する新電力小売り事業者のネットワークを利用して、電気小売事業者・需要化の双方にメリットのあるサービスとしていち早く提案する。
 節電は3・11の東日本大震災以降、キーワードとなっていた。需要家は「社会的要請」として対応してきたものの、そのモチベーションは薄かった。節電ボリュームを売却できるネガワットはそのモチベーションとなる。
 新電力小売り事業者側にとってはどうか。経営企画管理室広報の下平めぐみ氏は「夏など電力需要がひっ迫する際、電力マーケットでも価格が高騰し小売事業者としては需要が増えるほど赤字が大きくなる『逆ザヤ』となる。ネガワット市場の創設はこの赤字幅を抑制する点でも大きなインパクトとなる」と話す。
 今後、近い段階でネガワット取引を最適に進める「エネパEMS4.0」の展開を進めていくとともに、本格的なネガワット取引市場の創設を進めていく。下平氏曰く「ネガワットは電力業界では大きな話題だが、それ以外への訴求はまだまだ」。ビル業界にも大きく関わるだけに、需要家としてこの最新動向に注目しておきたい。

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