週刊ビル経営・今週の注目記事
毎週月曜日更新
バリューレイズ 集客効果抜群、アート内覧会・屋上ヨガ
2016.09.26 13:33
六本木の夜景を一望しながら屋上でヨガ教室が行われている。参加者は男女合わせて約10名。西麻布交差点に位置する「早野ビル」でのワンシーンだ。このイベントを仕掛けたのは中小ビル専門のコンサルティング会社であるバリューレイズ(東京都港区)。16日~18日にかけて同ビルで実施したアート内覧会「ヤドカリトーキョーVol.17」に加え、建物の屋上でヨガ教室を展開する「東京空ヨガ」を主催する山口紘実氏とタイアップし、これまでデッドスペースであった屋上でヨガ体験をしてもらうことでビルの屋上の新たな活用方法を提示した。
「ヤドカリトーキョー」はバリューレイズが平成23年から開始し、今回で17回目を数える。テナント募集中の空室にアート作品を展示し、内覧会と作品展を兼任したイベントだ。イベントを企画した同社執行役員の山田武男氏はイベントの狙いについて「都心でも借り手がつかない築古オフィスビルが多数存在し、大規模なバリューアップ工事で機能向上を目指すか、賃料を大幅に下げるかの選択肢しかビルオーナーにはなかった。しかし、これまで立ち入り禁止にしていた屋上や空室等の未利用空間を活用することでビル全体のイメージを向上させることが可能」と指摘する。ビルオーナーである早野ビル(東京都港区)の取締役、早野雄一郎氏は「屋上活用についてはセキュリティに懸念があったが、バリューレイズの提案で問題が解決された。今後は屋上ヨガをテナントや地域住民向けに提供し、地域のコミュニティ拠点を目指したい」と前向きだ。一方、バリューレイズの山田氏も「今後、当社管理物件でも屋上ヨガを実施し、テナントサービスのメニューとして活用したい」と抱負を語る。
これまで「ヤドカリトーキョー」を実施してきたビルの大半は満室稼働に至ったが、アートイベントがリーシングに寄与した直接的な要因であるとは判明しなかった。しかし、今回の「早野ビル」が立地する六本木界隈にはギャラリーが多数集積し、アートイベントも頻繁に行われている。そのため、アート内覧会の参加者はギャラリーやフォトスタジオの関係者が多く、実際に内見、成約に結び付いた。新たな切り口で空きビル再生に尽力する。