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安藤ハザマ 劣化コンクリートを回復 給水養生工法の用途を拡大

2016.08.29 10:43

 安藤ハザマ(東京都港区)は22日、東京工業大学の大即信明名誉教授の指導のもと、平成22年に実用化した「アクアカーテンR」を改良し電気化学的補修工法(塩害や中性化による劣化を受けたコンクリートの表面に陽極材を仮設し、コンクリート中の鉄筋を陰極として直流電流を通電することで、劣化コンクリートを取り壊すことなく健全な状態に回復させる工法)としての適用を可能にしたことを発表した。アクアカーテンは壁面や凹凸面でもまんべんなくコンクリートの湿潤養生ができる給水養生工法で施工性に優れており、施工実績は実用化から5年間で50万㎡を超えている。大気圧によって給水養生シートをコンクリート表面に貼り付け、均一な水膜を形成することで、鉛直壁面やトンネル覆工等のアーチ面に対しても、水中と同じような養生環境を提供できる。
 同社は上記の特長を有するアクアカーテンを改良することで、脱塩工法や再アルカリ化工法といった電気化学的補修工法を陸上構造物へ適用する際に必要な仮設陽極材の保持および電解質溶液の供給を実現した。 
 海洋環境に40年間曝露され塩害を受けた鉄筋コンクリート梁供試体に本施工方法を用いた脱塩工法を適用し、補修効果を検証した結果、通電日数の延長に伴いコンクリート中の塩化物イオンの除去量が増加することが確認されている。
 デンカ(東京都中央区)の協力を得て実施した試験施工では、27年間供用された建物の中性化を受けた屋内壁面に、本施工方法を用いた再アルカリ化工法を適用した場合も補修期間を通じて不具合なく施工でき、期待される補修効果が得られている。
 同社は今後、アクアカーテンを活用した新しい施工方法による脱塩工法ならびに再アルカリ化工法を積極的に展開し、インフラ維持更新事業の推進に貢献していくとしている。

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