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竹中工務店 既存中小オフィスのZEB化を居ながら工事

2016.06.06 10:53

ワークプレイスを見直し「人にやさしい」空間を実現
 竹中工務店(大阪市中央区)は先月30日、千葉市中央区の「竹中工務店東関東支店」を改修し、一時エネルギー消費量が正味ゼロもしくはマイナスとなる「ネットZEB化」に挑んだ。改修費用は坪85万円。
 ZEB化を目指す施設の多くは新築が大半だが、既存のオフィスビルを対象にして「居ながら工事」によるZEB化を目指した点が大きな特徴だ。竹中工務店の岡本達雄専務執行役員は「2050年までの地球環境への貢献の道筋を定め、様々な省エネ技術の開発、建物への応用を通じてゼロエネルギービルの実現に努めてきた。昨年末のCOP21において『2030年に13年比で温室効果ガスを40%削減する』という日本の約束草案が提示され、今後一層省エネ活動が求められる。特にオフィスビルの98%を占める既存オフィスビルの省エネ化が喫緊の課題となっている。そこで、既存の事務所ビルをゼロエネルギービルディング化することに挑戦した」と説明する。太陽光発電による創エネがオフィスの一時消費エネルギーを上回る「ネットプラスエネルギービル」実現も視野に入れる。
 従前のオフィスビルは「ユニバーサルオフィス」で設計されていたが、これは建物全体に空調・照明等のすべての機能が同一に配され、間仕切りで用途を決めるという考え方。一方、今回のプロジェクトは「必要なところに必要なものを配置する」ことを重視。約700㎡の執務空間をミーティングスペース、ワークプレイス、ファイリングスペースといった3つの領域に分け、それぞれの場所にふさわしい室内環境を実現した。
 導入した省エネ技術の主なものとして、高断熱性ガラスの外側にもう1枚ガラスを設置したダブルスキンに変更。間にブラインドを設けて日射を遮る。LED天井照明が机の照度を300ルクスに保ち、タスクライトで明るさを調整。着席すると自動点灯する仕組みだ。オフィスフロア全体の空調は地中熱や太陽熱を利用した放射空調で室温をコントロールする。さらにワーカーそれぞれの代謝量等に合わせた快適制御も可能だ。また、屋上の太陽光発電の電力は常時消費し、余剰時は備蓄リチウム電池に蓄電するか、地域に供給する。これらのエネルギーはクラウドコンピューターを活用したエネルギー&ウェルネスマネジメントシステ

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