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奥村組 せん断補強鉄筋を用いた耐震補強工法を開発

2016.02.08 10:23

 奥村組(大阪市阿倍野区)は、既存鉄筋コンクリート構造物(RC構造物)の耐震補強工事において、部材の片側からの施工が可能であり、要求品質の安定的な確保および施工性向上に寄与する六角ナット定着型せん断補強鉄筋「ベストグラウトバー」を用いた耐震補強工法を開発、土木研究センター(東京都台東区)の建設技術審査証明を取得した。
 背面に地盤等があるRC構造物を耐震補強する場合は、部材の両側からの施工が困難であるため、片側から削孔した孔内に鉄筋を挿入しモルタルを充填することで構造物と一体化し、せん断耐力を向上させる工法が一般的に採用されている。しかしながら、補強箇所が多くなると削孔数も増え、RC構造物の主鉄筋を損傷するリスクが懸念される。また、要求されたせん断補強効果を発揮させるには、削孔した全ての孔内にモルタルを隙間なく充填する必要があり、上向き姿勢などの場合において作業性が悪く、その施工性の向上が求められていた。
 同工法は、六角ナット定着型せん断補強鉄筋「ベストグラウトバー」を用いて、部材の片側から耐震補強を行うもの。使用する「グラウトバー」は一般的に使用される鉄筋の片側をネジ切りおよび斜め切断加工し、当該先端部に六角ナット(定着体)を装着したもので、これにより鉄筋挿入時の円滑性を確保するとともに、RC構造物の奥側主鉄筋手前までの挿入で補強効果を発揮することから、削孔による奥側主鉄筋の損傷リスクを大幅に低減することができる。
 また、充填剤に可塑性モルタル(無機系無収縮プレミックスモルタル)を使用し、モルタル充填および鉄筋挿入時に専用治具を用いることで、上向き姿勢であっても確実かつ容易に施工することができ、安定した品質を確保することができる。
 同社は、今回の建設技術審査証明取得を機に、RC構造物に対して片側から施工できる高品質かつ高効率な耐震補強技術として、同工法を発注者に積極的に提案していく。

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