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ヒューマンアイネット総研 安全かつ精度の高いエレベーターメンテナンスシステムを開発

2013.08.26 18:05

全国の独立系メンテナンス会社と協働し安全なエレベーターメンテナンス普及を目指す
 エレベーターのメンテナンスを行うのは大きく分けて2種類の会社が存在する。エレベーターメーカーの系列メンテナンス会社と独立系メンテナンス会社である。一般的に前者はメンテナンスコストが割高ながらも保守点検業務が堅実かつ信頼性が高いと考えられている。一方、独立系を起用するメリットは安価な保守点検コストにあるが、メンテナンスの信頼度は自社のエレベーター設備に精通したメーカー系に比べて判断が難しいとされている。
 「特に、メーカー系から独立系に切り替えた時に大きな問題が水面下で生じています」と話すのは、災害対策に詳しいヒューマンアイネット総研(大阪市中央区)の鮎川秀行代表取締役だ。
 「最近のエレベーターは遠隔地からメンテナンスが可能なリモート監視装置が標準装備されており、メーカー系メンテナンス会社はリモート監視装置をフルに活用し、迅速な対応を行っています。しかし、独立系に契約を切り替えると、メーカー側はリモート監視装置を取り外してしまい、残されるのは発報装置だけ。異常を知らせる警報音は発生しますが、どの部分に異常があるのか原因究明できません。特に、エレベーターの心臓部であるプログラミングは各メーカーが独自に開発したOSのため、独立系では異常カ所を正確に把握することが困難です」
 しかし、ビルオーナーにとって最も望ましいのが、コストが安く、安全性が高いサポート体制に他ならない。そうしたニーズを受けて、同社では全国の有力な独立系エレベーターメンテナンス会社のファーストエレベーター(東京都台東区)の技術協力を得て、エレベーターリモートメンテナンスシステムを開発。「メーカー並みの安全で精度の高いメンテナンスを実現した」(鮎川氏)と自信を覗かせる。
 同システムは、エレベーターメーカーのOSをプログラミング解析した監視装置を取り付けることで、全メーカーのエレベーターに対応してリモートメンテナンスが可能になる。ファーストエレベーターの監視センターから全国各物件の監視装置を確認し、遠隔監視とリモート操作・点検といったメーカー系並みのサービスを提供することが可能だという。 
 鮎川氏は「メーカー系に装置より優れている点が2つある」と話す。地震発生後、エレベーター状態(停止か閉じ込めか)を確認する際、東日本大震災時は電話混雑で、確認に多くの時間を要し、約280件(内閣府発表)の閉じ込めが発生した。
 しかし、同システムはパケット通信のため、エレベーターとの通信が可能であり、瞬時にエレベーターの状態を確認する事ができる。また、緊急地震速報も受信可能なので、地震発生時にアナウンスすることもできる。今後は同社と全国の独立系メンテナンス会社とのアライアンスを組み、安全なエレベーターメンテナンスを増やしていくことを考えている。

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