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シェア/リンクアンドディール 知っていますか「再建築不可」

2013.06.03 13:43

ライフプランに合わせて選択肢のひとつに
 「再建築不可物件」をご存じだろうか。
 建築基準法における接道義務を満たしていない(接道幅員が基準未満であったり、建築基準法の基準外道路に接していたりする)物件のことを指す。読んで字のごとく、その土地に建つ物件は建て替えを行うことはできない。再建築不可物件の多くは都市計画区域内・準都市計画区域内で昭和40年代に建てられたものである。再建築不可状態を解消に向けての対策としては、隣地の取得や賃貸借したりして接道幅員を広げるか、接している基準外道路を、周辺の地権者が結束して基準道路と認めるよう「建築審査会の同意を得る」俗に言う、43条第1項但し書き申請を行うという方法があるが、なかなかうまくいかないのが現状だ。
 また、多くの住宅ローン(都市銀行など)は再建築不可物件を取得するための、融資は行わないため、買い主が限定されてしまい、価格下落につながってしまう。一部例外として、ノンバンクの三井住友トラスト・ローン&ファイナンスでは融資を行う場合もあるが、金利が高い、共同担保や連帯保証人、自己資金(売買価格の3割以上)が必要であるなど、条件がいくつもある。
 そのような物件を業者が仕入れる際は瑕疵担保免責という条件で買い取ることになるが、もともと古い物件なので瑕疵問題は起こりやすく、不動産業者は取り扱いを避ける場合が多い。
 再建築不可物件の取引実績が豊富なシェア(東京都中央区)の代表取締役・東秀信氏は、自らの事業について次のように話す。
 「我々は不動産取引のプロとして、再建築不可物件が市場に流れるように仕入れ・再販を行います。取得後、時には購入価格の倍以上の値段をかけてリノベーションを行います。そのポイントは3点あります。まずひとつは耐震性能の向上です。耐震診断から耐震補強計画(設計)、耐震補強工事、耐震基準適合証明書を取得するところまで弊社では行います。もうひとつは機能性の向上です。建物が竣工した当時とは、キッチン、トイレ、お風呂(水周り)や電気、給排水などの設備をリニューアルする必要があります。さらにはデザイン性の向上が挙げられ、これがコストパフォーマンスをあげるコツとなります。デザイン、施工監理、コスト管理を行うコーディネーター役となる人材を介することで、通常施工を行う工務店とのやりとりがスムーズになります。我々は再建築不可物件を都内であれば総額2千万円以内の販売価格、さらに利回り12%以上を目標に、物件の企画を設定し、販売しています。私たちの役割は、一人でも多くの方に「再建築不可」という言葉、さらにはその意味を知ってもらう一環として、6月15日には、住宅購入検討者を対象とした第1回『都内で、一千万円台で、土地付き戸建リノベーション住宅を買う方法』というテーマでセミナーを開催します」
 では「再建築不可物件」は、実際にどのようなメリットがあるのかについて、リンクアンドディール(東京都新宿区)の代表取締役・段耕作氏は、次のように話す。
 「第一のメリットとしては、東京都内で土地付き戸建価格の相場がおよそ5000万円という立地において、1000万円台で取得できるという点が挙げられます。また、再建築不可物件と言っても、賃貸する場合には相場並みの賃料で行うことができます。一方、再建築不可物件は、築年数が経過しているものが多いこともあり、資産価値は高くはなく、大きな固定資産税もかからないことが多いです。再建築不可物件を上手に活用するためには、単に不動産として捉えるのではなく、自らのライフプラン設計を入念に考えることや再建築不可物件の経済的合理性について理解を深めることが必要となります。よく検討したうえで、自らのライフプランに合致したと判断したならば、再建築不可物件を購入し、住居や収益用として活用することもひとつの選択肢となりうると思います」

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