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三菱地所 大手町に温泉旅館「星のや」を導入

2013.03.25 14:37

 三菱地所(東京都千代田区)は15日、大手町エリアですすめている同時多発的な大規模再開発計画について新たな計画が始動したと発表した。
 「大手町連鎖型都市再生プロジェクト第3次事業」は同社がすすめる丸の内再構築「第2ステージ」の第6弾。計画では「公庫ビル」および「日本政策投資銀行本社ビル」などの跡地に事務所棟と宿泊施設各1棟、延床面積合計20万5000㎡を建設するもので、同社が大手町2丁目に所有するビルの土地の一部権利と当計画の事業敷地内の種地を入れ替えることで事業をすすめる。
 事務所棟(A棟)は1フロアあたり約4200㎡の貸床を確保。大手町エリア最大級のオフィスエリアを実現するとともに海外企業のビジネスマッチングや誘致を実施する拠点として「(仮称)海外企業等支援センター」を整備する。同センターには専門知識を有するスタッフが企業の個別相談に応じ、海外企業の日本国内における事業展開や国内企業との事業創造をサポートする。
 宿泊施設(B棟)には、海外からのビジネス客の受け皿となるべく国際水準の施設を用意する。宿泊施設を運営するのは、国内で旅館やホテル、リゾート施設などを展開する星野リゾート(長野県軽井沢町)。アジアの他都市との差別化を図るべく敷地内から温泉を引くとともに快適性や「おもてなし文化」も重視した日本旅館とし、都内初進出となる星野リゾートの最高級ブランド「星のや」を導入する。
 「星のや東京」は客室数84。日本料理レストランやカンファレンスルーム、スパなども併設される。星野リゾートでは「日本旅館には国際的な高級ホテルと同列の価値を発信する潜在力がある。日本旅館の哲学は海外からの旅行者にも高く評価されており、世界のホテルサービスの概念を変える可能性がある」としている。
 また災害対策として、共用部へ72時間供給可能な発電機の採用や、井戸とろ過設備による飲料水の確保も実施する。一部共用部を帰宅困難者用に解放するほか、食料や各種資材の備蓄にも力を入れる。
 環境対策としては熱負荷低減に配慮した外装、建物中央部のエコボイドを利用した自然換気、太陽光発電やBEMSなどを採用する。電動ブラインドを内蔵するダブルスキン外装システムにより、室内への熱負荷の削減と日射遮蔽も実現。CASBEEはSランク相当の確保を目指している。
 さらに地下鉄「大手町」駅から大手町フィナンシャルセンターまで、当計画地を経由する地下歩行者ネットワークも整備する。地上においては丸の内仲通りの機能を当計画地にまで延伸。有楽町から丸の内、日本橋川までをつなぐ広域的な賑わいと都市空間の形成を図る。また一般利用も可能な自転車駐輪場を700台分整備し、路上駐輪の軽減にも寄与する。
 当計画の敷地面積は1万1200㎡、A棟は地上31階地下4階、B棟は地上18階地下3階、工期は2014~2016年度までを予定している。

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