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積水化成品工業 新技術の融雪パネルを開発

2013.02.11 17:27

 積水化成品工業(大阪市北区)が開発したPTCセラミックヒーターの技術を生かした融雪パネルが、このたび東北新幹線の駅や車庫の屋根などで採用された。
 降雪地帯を通る東北新幹線では以前より効果的な融雪システムが求められていたが、同社では平成15年から鉄道運輸機構や鉄道総合技術研究所と共同で基礎試験を開始し、平成17年からは青森でパネルの構造や設置方法、熱量、融雪状態などの実地検証を続けてきた。
 軒先を部分的に融雪することで効率的な雪害防止が可能になり、試験を通じて雪庇やつららが発生しにくいことが確認できたという。試験を重ねながら構造を確立させ、東北新幹線「新青森」駅や「七戸十和田」駅、車庫の屋根先に同社の融雪パネルが設置されるにいたった。
 同社の融雪ヒーターは自己電力量を調整するPTCセラミックヒーターで、各部の温度ムラを少なくするとともに必要に応じた出力調整ができるのが特徴。今回は屋根で使用するため、施工性とメンテナンス性を考慮してヒーターをパネル化した。既存の屋根や樋に後付けできる構造となっている。また構造材には熱伝導に優れたアルミを採用したすのこ状で、パネル上部で融けた雪が再び凍結しないよう円滑に排水できる。樋部分ではヒーターの下側へも熱を伝えることで再凍結を防ぎ、雪融け水を排水する。
 同社では今後の展開として、近年頻繁に発生するようになった寒冷地での集中豪雪に対する安全配慮、雪かきなどの配慮が必要との認識。同社は融雪パネルを、いわば「雪害」に有効な製品として積極的に展開し、鉄道駅舎以外の施設への設置拡大を目指すという。

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