週刊ビル経営・今週の注目記事

毎週月曜日更新

係争中!報復? オーナーが1.5倍の賃料請求 追い出し目的の嫌がらせか

2012.05.14 17:52

 東京地裁で現在、興味深い裁判が進行中だ。訴えられたのは東京都千代田区神田小川町のビルの一室で診療所を経営している医療法人社団ゲズンハイト。訴えたのは同ビルを経営所有する株式会社ビルテック(東京都千代田区 代表取締役 杉山圭一郎氏)。都内には同名のビル管理会社や仲介会社が複数存在するが、同社は神田神保町に拠点をおく不動産経営ビル管理不動産経営会社。
 ビルが前オーナーから同社の手にわたったのは平成20年11月。当初は従来からの契約内容が継承される旨を双方合意し何事もなく契約は引き継が移行されたが、22年8月の契約更新時に同社が定期借家契約への変更移行を求めた伝えたときから両者のビル賃貸に対する考え方の違い対立が決定的となる。このときの同社の説明は、将来、隣接するビルとともに大規模なビルへの建て替えを考えているためが、賃貸借契約から定期借家契約への変更を了承してもらえれば賃料は将来にわたって据え置くというものだったという。
 同院は、診療所が簡単に移転できる性格のものではない点と、オーナーの利己的な理由にもかかわらず、立ち退き費用を支払いたくないがゆえの定期借家契約移行は了承できない旨を伝えるとともに、将来立ち退く必要があるのであればそれに伴う費用はオーナー側が負担すべきとの意向を示した。
 話し合いは平行線をたどるが、同年10月、同社は突然、従来の賃料の1.5倍という賃料の大幅値上げを要求する。同院は従来の1.5倍というこれの異常な値上げを定期借家契約への変更移行を拒んだための報復ととらえた同院が、23年1月に申し立てられた簡易裁判所の調停をも拒否。するとや否や、同社は同院に対し今度はて同社はここにいたり同院に対する賃料増額訴訟を起こした。同社は訴訟を起こした後にビルの外観を7色に塗りわけるとともに電飾看板を設置。エレベーター内にも派手な装飾を施したうえで「これらの工事費用として1000万円かかったので賃上げは妥当」と主張して、同ビルの他のテナントの賃料も軒並み上げ始めたいるという。
 同院側ではこの訴訟を追い出し目的の嫌がらせとみており、現在も同院が設置した立て看板が車道際に放置されるなどの嫌がらせ行為が続いているという。同院を経営する宮沢あゆみ氏は「この問題は、立ち退きを目的とした賃上げがいまだに横行しており、またテナントがオーナーの横暴に直面した際にどのような苦境に立たされるのかという実例といえます。貸ビルで営業するテナント業界の存続意義にも関る社会的な問題をもはらんでいると思います」と話す。今回の裁判の争点は賃上げが妥当か否かに絞られているが、結果がどうあれ立ち退き目的の不当な賃上げが許されるものでないことは明白だ。今後も事件の行く末を注視していきたい。


全て見る


PAGE TOPへ