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三鬼商事 札幌・大阪は好転も名古屋・福岡苦戦 4大地方都市の4月末平均空室率を発表

2003.05.12 13:37

 オフィス仲介大手の三鬼商事は、札幌・名古屋・大阪・福岡の4地方都市における4月末時点でのオフィスビル平均空室率を発表した。
 まず札幌は、平均空室率12・47%と前月比0・09%下落した。4月は駅前東西地区で3年ぶりの新規供給となった「STV北2条ビル(延床3499坪)」が入居率9割を超える高い稼働率で竣工した。これにより年内の新規供給については北口地区の「新伊藤ビル(称称・延床3765坪)を9月に控えるのみとなり、JRタワーの竣工など大型ビル供給の影響により弱含みの市況が続いていた札幌地区についても明るい兆しが見えて来たといえる。企業の動きも全般的な活発であるものの、経費削減を重視した借り替え移動が主流である為、賃料相場については弱含みとなっているという。
 名古屋市の平均空室率は8・43%と前月比0・12%の上昇となった。名古屋では今年1月の8・64%をピークに3ヶ月連続で平均空室率は下落していたが、4月は伏見地区で合併に伴う大型解約が出たことや、名駅・丸の内といった地区での空室増加により平均空室率は上昇した。5月・6月で新築ビルが2棟竣工を予定しているが、6月完成予定の「アーバンネット伏見ビル(延床4582坪)」は高稼動での竣工が見込まれている。しかし、テナントのオフィスコスト見直しの動きは強く、新築ビルか、割安感の強い既存ビル、といった具合に引き合いの強まり方には差がある。
 大阪地区は前月比0・07%下げた10・90%。昨年12月の10・51%より4ヶ月連続で空室率は上昇していたが、今月は歯止めがかかった形になった。特に梅田地区や南森町地区・新大阪地区では他地区からの移転による需要が多く見られた。また、大型移転の動きは目立たないものの、中型・小型テナントの動きが出て来たという。大阪では高グレードな大型既存ビルにまとまった空室がある為、これらのビルが大企業の動きにも影響を与えそうだ。
 福岡は11・81%と前月比0・36%上昇した。ここ数ヶ月は狭い幅の中での上下が続いていたが、久々に市況が大きく動いた形になった。博多駅東・駅南地区での館内縮小や撤退などの動きが相次いだことが原因と考えられる。また、天神地区で4月に完成した大型ビル1棟が募集面積を残したことの影響も考えられる。一方、10 月に完成予定の「呉服町ビジネスセンタービル(仮称・延床9440坪)」は高い入居率での稼動が見込まれている。

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