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本紙主催・東京ガス後援 ビル経営セミナー好調のうちに幕 今後の不動産ビジネスの在り方を中心に

2000.11.13 11:55

 本紙が主催する今年度第2回目となるビル経営セミナーが9日、渋谷区の新大宗ビルFORUM8にて開催された。
飛び入りを含めた50名が熱心に参加
 前日とうってかわって厳しい冷え込みとなったにもかかわらず当日は飛び入り参加を含めた約50名のビルオーナー・管理会社らが「様変わりする不動産周辺の環境―市場化の影響」と題した講演に熱心に耳を傾けた。
 今回講師を務めたのは日本総合研究所創発センター副主任研究員の辻和伸氏。
 同氏は「不動産は絶対的な価値を持つものではなくなってきている。その質と価格との間に整合性の無い物件については評価の対象とならず市場から淘汰されていくであろう」「表面に出てこない質は今後評価されなくなる。不動産のグローバリゼーションが進む中で、積極的に情報を開示して目に見える形でのアピールが必要になる」「ITの波は不動産市場にも確実に及んでいる。これまで不動産取引は当人同士のみの相対(あいたい)取引が中心で秘密性が高かったがネット上での売買・仲介が主流になってくれば情報開示は必須になる。不動産の小口代・証券化などがいいケース」など外国資本の参入や所有と経営の分離、不動産の金融の融合、SPC法施行、収益還元法の導入など不動産を取りまくあらゆる変化と、それに対し所有者に求められる心構え、あるいはそれにより生じるであろうと思われる新ビジネスなどの新たな可能性について1時間にわたりレクチャーを行った。
 一方、参加者からは「かつてビルは上層フロア程高い賃料設定になっていたが今後はそういったフロアごとの賃料格差はどの様に変化してゆくのか」「外国企業の日本進出は不動産市況にどう影響を与えるか、またこの動きは今後いつぐらいまで続くのか」
 「ビル内に複数テナントがいる場合テナントごとに賃料が異なることが多いが、そうした事例への対処法はどうすればいいのか」などといった質問が出された。
 なお、当日会場内ではビル経営の実態と問題点についてのアンケートを行った。その結果によれば、参加者の多くが「テナントの退出防止策」「効果的なリニューアル」「優良テナントの誘致」「管理コストの削減」などといった点についての問題を抱えると同時にその解決に向けての情報を欲しており、その情報源として各マスコミや管理・仲介会社を頼ってはいるものの、同じ悩みをもつ者が周囲に少なく情報不足に陥りがちなことがわかった。
 そういった中で多くの参加者が今回のようなセミナー、あるいは勉強会・施設見学会などを生きた情報をキャッチするチャンスとして有効であると考えており、年2~4回程度での実施を希望していると回答している。
 本紙では市場のこうした声を重視し、今後もビルオーナーの経営サポートの為定期的にタイムリーなテーマに基づき、今回のようなセミナー、ディスカッションを行うことを計画している。

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