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昭和の建造物として初の重文指定 明治生命館保存と周辺開発計画発表 都の特定街区制度適用も検討

1999.11.15 11:58

 明治生命(東京都千代田区)は昭和の建造物として初の重要文化財指定を受けた明治生命館(1934年竣工)の全面保存を行うとともに隣接地を含む街区の再開発を行うことを発表した。この開発には文化財の維持保全の為に設けられた東京都の特定街区制度を適用することが予定されているという。
 この特定街区制度は再開発時に重要文化財など資料的価値の高い建造物を保存することを条件に、容積率の緩和が受けられるというもので、先日三井不動産(東京都中央区)が発表した三井本館の保存及び隣接する室町三井新館の再開発事業にはじめて適用された。
 明治生命の発表によれば、開発規模は街区全体で約1万1000平米。明治生命新館、別館を建て替える形で地上30階建て、高さ135mの大型ビルを建設するというもので延床面積は保存される明治生命館を含めて18万1600平米。明治生命が本社機能を置く他、一部はテナントに賃貸する予定だという。
 着工は2001年7月、完成は2005年を予定している。
 本紙11月1日号でも紹介した様に丸の内一帯は来年度以降、丸ビル再開発、旧JR本社再開発などの大がかりなプロジェクトが完成を迎える予定。
 この背景にはこれまで「日本一の伝統と格式」を武器にビジネス街中のビジネス街として高い地位を保って北丸の内が品川などの最新設備を備えた新興オフィス街の隆盛により、その地位に揺らぎが出てきたという点がある。
 今日の明治生命の動きは三菱商事や三菱重工など丸の内を支えてきた基幹企業の移転発表もあり、丸の内の伝統の重みと最新設備という2つの武器を有するビジネス街に生まれ変わらせ再び東京の表玄関にという流れの一環と見ることが出来そうだ。

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