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一流企業の大型移転が続々と 品薄感強まる 都内注目ビルの引き合い状況総まくり 恵比寿G、提婆F、住友箱崎など満室達成
1996.04.01 14:22
市況回復の兆候か、都内の大規模ビルではこのところ大型テナントの入居が相次ぎ、仲介業者の間では「大フロアのオーダーに応える物件がない」などと品薄感を訴える声が大きくなっている。注目ビルのテナント動向を探った。
森ビル物件の動き活発
この4月1日から鐘渕化学工業が本社を移したのがアーク森ビル。同社は赤坂センタービルからの移転で、アーク森ビル内の1500坪を使用する。赤坂センタービルは昨年まで、ヨコソーレインボータワーに移った鐘紡が入っていたビルで、およそ半年の間に大型テナント2社が退出したことになる。アークにはこの他、ファルマシアとアップジョンが合併の為、新宿アイランドタワーなどから3000坪の移転。また第18森ビルの建替えによる1000坪クラスの移転もある。
同じ森ビルでは赤坂ツインタワー(ATT)。石油資源開発が天王洲郵船ビルへ移った穴を、富士ゼロックスが埋める。国際山王ビルから3500坪もの大型移転だ。前述の鐘渕化学は当初ここに入る予定だったものが、富士ゼロックスに押し出される形でアークへ移ったとの話もある。
同じく森ビルの虎ノ門4丁目ビル。ここは以前、スイス銀行コーポレィションが入っていたが、SGウォーバーグを吸収合併したことでSGの入る神谷町森ビルへ移り、その跡が空いていた。そしてここにシオノギ本町ビルから同じ外資系のドレスナーバンクが入った。外資に強い森ビルの面目躍如といったところか。
一方、ほぼ満室状態とされていた恵比寿ガーデンプレイスにも新たなテナントとして、大手町センタービルからモルガンスタンレーが移って来た。ガーデンプレイスは満室状態といえど、実際には将来の既存テナントの増床ニーズに対応するため、幾つかのフロアで100~200坪の未使用スペースを残している。またオーナーであるサッポロビールの関連会社である星和不動産なども入居していたが、モルガンの移転でこれら関連企業は同じ敷地内にあるサッポロビール本社へ移り、これで「完全な」満室となった見込みだ。
竣工ビルも好調
ごく最近に竣工、あるいはこれから竣工する大型ビルも相次いでテナントが決まっている。
NTT都市開発などがオーナーのグランパークビル。キーテナントとしては博報堂が、丸の内の東京ビルヂング、神田錦町の竹橋安田ビル、神田橋パークビルヂングその他より、大型統合移転として1万坪を借りる。賃料は込みで3万円を少し切るあたりか。この他、同ビルには大手町の日本ビルヂングから興亜石油が2フロアを、NTTファシリティーズが第21森ビルから4フロア2400坪と、それぞれ使用することが決まっている模様だ。
都市博中止で集客が危ぶまれた台場フロンティアビルもUCカードが神田方面の6ヶ所から2600坪、昭和シェル石油が霞ケ関ビルから5200坪といった大型テナントの成功誘致で全館埋めている。
早くから移転オーダーが市場に流れ、去就が注目されたソフトバンクは、結局住友不動産箱崎ビルの3700坪を一括借り。同社がこの3月まで本社を置いていたのは、住友不動産浜町ビルで、住友不内での移動に落ち着いた格好だ。
今後の注目としては、品川駅東口で興和不動産が中心となって進めているインターシティ。計画される3棟のうちの1棟は開発に参加している大林組が入るが、あとの2棟には今のところ、ダイエーと住友生命という大企業2社の名前が挙がっている。特にダイエーは中内会長が現在の浜松町のビルを出ることを明言しているだけに有力だ。