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大成建設、改修事業本格展開へ!!顧客データベース整備し四月から運用開始
1996.02.15 15:29
—FM提案絡ませリニューアル推進部も新設—
大成建設では今年4月からの運用開始を目途に、過去の竣工物件の顧客データベースを再構築し、ビル改修事業を本格的に展開する。既に1月には営業の前線部隊を支援する目的で、社内にリニューアル推進部を発足させており、FM(ファシリティマネジメント)やCS、さらに耐震などを絡めた総合的な改修受注拡大を目指す。
売上げでみた同社の改修事業の割合は1割弱。東京支店内のリニューアルセンターだけで100名近い人員を揃えるなど、これまでも自社施工物件の劣化補修などを手掛けていたが、新築の頭打ちもあり今後はより「攻め」の営業を展開する。同社ではここ1,2年の間に耐震、FM、CSの専門部署を相次いで発足させており、一連の体制強化は、これまで新築の陰で前面に出ていなかったストック物件への取り組みを対外的にアピールする狙いもあるものとみられる。
リニューアル推進部は15名程の体制で、全社的に各営業担当者レベルで展開する改修営業の支援や、顧客情報を管理する。
顧客データベースについては従来より自社竣工物件に対し、竣工後6ヶ月、1年、2年、5年、10年、15年(今年から追加)経た時点で、同社独自の品質保証体系に基づいた定期点検を行い、4万数千件のデータをストックしている。「この中から一定の基準で物件をピックアップし、これらについて修繕、設備更新、クレームといった履歴を含めて戦略的に再構築」(黒田満男リニューアル推進部長)し、データベースシステムを作っていくという。
また施工に当たってはFM推進室をの連携で「事務所ビルで平米①万円とされる日常維持管理コストの削減も同時に実現させていく」(中村紘一営業推進第二部FM担当部長)など総合的な改修効果を打ち出していきたいとしている。
情報力や体制面で強みを持つ最大手ゼネコンだけに、その動向がきわめて注目される。
テナント誘致など情報力でも強味あり 大成建設 リニューアル推進部長 黒田満男氏
従来より自社施工物件主体に改修事業にも取り組んできましたが、受身的な対応であったことも事実。経済の成熟や環境問題などから、今後、ストックをどう活かすかが、建設業界の大きなテーマになるはずで、その意味で当社にとって推進部の発足は改修部門強化の一つの契機ではあります。ビル改修には企業規模の大小、業種を問わず様々な企業が参入していますが既存テナントの扱いといった改修時のノウハウ、さらにはテナント誘致を絡めた情報力などの天でもゼネコンの強味が発揮できると自負しています。