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<ユニーク社員教育>エアコンサービス 「ホメカード」で社内活性化 相互作用でレベル向上図る 2泊3日の研修会には社員全員が参加
1996.02.01 16:12
「人間は誰でもホメられたいもの。互いにホメ合うことで各自の意欲がわき、社内が盛り上がります」
こうした井上弘社長の発案から、「模範社員表彰券制度」という独自の試みを行っているのが、独立系の空調保守・メンテナンス会社、エアコンサービス(東京都港区)。
この模範社員表彰券は会社の活性化を目指し3年前から始めたもの。通称「ホメカード」と呼ばれ、日頃から全社員が手元に持っていて、社内の業務を通じて社員同士でホメたいことがあった際に、その内容を記入する。
例えば「清掃、整理整頓が素晴らしい」「挨拶(笑顔、大きい声)が素晴らしい」「電話対応が素晴らしい」といった内容。営業の受注が取れた部下に対し上司が贈ったり、逆にトラブルを助けてくれた上司に、と様々だ。カードは2枚つづりで、1枚は書いたその場でホメた相手に渡し、写しのもう1枚は常務に提出。毎日の朝礼で名前やメッセージを読み上げる。「最初は照れくさかったが、今ではすっかり習慣になり、コミュニケーションがスムーズになった」(関口守正営業部長)と社員にも好評だ。
60数名の社員に対し、1日平均して実に160枚ものカードが集まり1枚も出なかった日は1日もないという。
この他、同社では毎年全社員参加型の宿泊研修も行っており、これも社員教育の大きなイベントだ。
今年度の研修会は「本気」というテーマのもと千葉・幕張で昨年11月3日から5日にかけて開催。スケジュールは社員数人からなる運営委員が組んだもので、食事時間や規則なども取り決め、全てに自主性が貫かれている。
研修会の中心は世代別グループに分かれての討論会。
最後は全員が「決意表明」の形で各自の改善目標を文章に残す。
ホメカードといい研修会といい、効果大という井上社長だが、小さな悩みも1つ。1年間に数百枚のホメカードをもらう社員もザラという中で、社長宛のホメカードは社員平均の3分の1とか。「社長のことももう少しホメて欲しい」と井上社長は笑う。