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噂のスクランブル 立退き巡り真昼のパフォーマンス 築30年、建替え目指すも旧借家法が大きな壁に

1996.01.01 16:57

 昼下がりのオフィス街、静寂を破る大音響に振り返ると、某メガネチェーン店の本店前に街宣車もどきの車が停まりフルボリュームで”訴え”を行っている。
 なんでも東京都下にあるこのチェーン店店舗が入るビルのオーナーと同社の間の立退きを巡るトラブルらしい。ビルといっても物件は築30年以上の木造2階建て。しかし立地は大規模なターミナル駅の真ん前と申し分のなく、周囲では再開発計画も進んでいる。そこでこのオーナーも建替えを決意し、1年後の契約期間切れを待って明渡しを同社に求めた。ところが同社の返事は「旧借家法にのっとって明渡しの義務はない」と拒否。その後、建替え後の再入居保障やビル売却など様々な提案を試みたが交渉は暗礁に乗り上げてしまったという。
 オーナーがこだわっているのは入居時に「近い将来、高層化の際は協力する」との約束を取り付けていた点。同ビルは建替えれば8階建て、延床350坪のビルが建てられるという。事の真偽はともかく法改正以前の契約におけるこうした問題で多くのオーナーが苦しんでいることは確かだ。




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