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噂のスクランブル 遂に札束も飛び交い出した誘致合戦 移転の見返りに3億円 現金で内装費等を補填

1995.04.15 10:26

 フリーレントやら段階賃料やら、テナント誘致のために様々な裏ワザが使われているビル業界だが、今後はとうとう現ナマ攻勢まで登場したと囁かれているのが都内港区のとある大型ビル。
 このビルには今秋、某化粧品会社が一棟借りで入居することが先頃内定したが、この誘致に当たって3億円ものキャッシュがテナントに支払われたという。もっともこの金、怪しげな袖の下という訳でなく、都内にある多数のビルから統合移転してくるテナント側に対し、全ビルの原状回復費および同ビルに入居する際の内装費を貸主側で負担しましょう、ということらしい。
 となればフリーレントの変形版と見ることもできよう。同ビルの総延床面積は6000坪強。賃料が2万円弱とすると月間賃料は約1億円。つまり3億円という金額は3ヵ月間フリーレントとほぼ等しくなる。それでもこれが誘致の決め手となったのであれば、先に現金で受け取るメリットがテナント側にあったのだろう。
 そう言えばこの貸主は以前、他のビルでもテナント企業の商品を大量購入し、それで入居にこぎつけたとの噂もあった。
 客付けも文字通りの物量作戦の時代に入ったということか。




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