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RC造向けの止水防水剤 コンクリと反応し雨水の浸入を防ぐ

2025.10.27 11:18

 降雨量の多い日本において、建物の防水は雨漏りだけでなく内部の鉄筋を腐食から守り、建物の延命にも効果をもたらす。シリカテック(栃木県栃木市)では、ケイ酸カリウムを主成分とした鉄筋コンクリート構造物向けの止水防水材「シリカテック」による、ビル・マンションや立体駐車場などの漏水対策を提案。2002年より「シリカテック」を用いた防水工事で実績を積んでおり、長期間にわたって防水性能を維持している。
 建物屋上の防水は、シート防水やウレタン防水、アスファルト防水などの工法が一般的である。一方で「シリカテック」はコンクリートの表面に塗布すると、コンクリートの成分である水酸化カルシウムと反応。元素が入れ替わり、ケイ酸カルシウムと水酸化カリウムが生成される。ケイ酸カルシウムはコンクリートの空隙や細かいヒビに入り込んで閉塞し、雨水の浸入をブロック。水酸化カリウムはコンクリート中をアルカリ性で保つことで、鉄筋の腐食につながる中性化の進行を抑える効果がある。「シリカテック」の施工後は雨が降るたびに雨水に少しずつ成分が溶け出し、ケイ酸カルシウムを蓄積。自己止水の効果を発揮するのだ。シリカテックの代表取締役・大阿久広行氏は「漏水の箇所が特定できていない場合でも、『シリカテック』は浸透力が高い特徴を持ち、水よりも早くコンクリートに浸透し、ケイ酸カルシウムを生成して止水効果が期待できます」と話す。
 同社では粗悪なコンクリートで水槽を製作し、内部に「シリカテック」を塗布した後に注水を実施する実験を行った。注水直後は数カ所から漏水が確認されたものの、40日後には完全に止水されたことを確認した。「シリカテック」はビル・マンションの屋上や廊下・階段といった屋外共用部、大型ショッピングセンター屋上の自走式駐車場など、さまざまな場所で施工実績を有している。大阿久氏は「ある大型ショッピングセンターの屋上駐車場で実施した施工事例では、アスファルト防水と表面のコンクリート仕上げを組み合わせる従来の工法から2~3割程度のコストダウンを実現しました。コスト面や施工性においても『シリカテック』は他の防水工法に比べ優位性があるといえます」と述べている。




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