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基準地価4年連続で上昇 全国用途平均・住宅地・商業地いずれも上昇幅拡大

2025.09.22 11:09

 国土交通省は16日、令和7年度の都道府県地価調査(基準地価)を公表した。全用途平均、住宅地、商業地のいずれも4年連続で上昇し、上昇幅も拡大した。
 「都道府県地価調査」とは、国土利用計画法施行令に基づき、都道府県知事が毎年7月1日時点における基準地の1m2当たりの価格を調査し公表するもの。いわゆる基準地価と呼ばれ、地価公示とあわせて一般の土地取引の指標になるとされる。
 東京、名古屋、大阪の三大都市圏でも全用途平均、住宅地、商業地のいずれも上昇が継続し、上昇幅も拡大。東京圏および大阪圏では上昇幅の拡大傾向が継続しているが、名古屋圏では上昇幅がやや縮小した。
 地方圏においても、全用途平均、住宅地、商業地のいずれも3年連続で上昇した。特に札幌市、仙台市、広島市、福岡市では2年連続で上昇幅がやや縮小したが、その他の地域では平成8年から29年続いた住宅地の下落が横ばいに転じた。
 全国的には景気が緩やかに回復し、地域や用途により差があるものの三大都市圏では上昇幅が拡大し、地方圏でも上昇傾向が継続するなど、全体として上昇基調が続いているとしている。
 主要都市の商業地では、店舗・ホテル等の需要が堅調で、オフィスについても空室率の低下傾向や賃料の上昇傾向によって収益性が向上していることから地価上昇が継続。マンション需要との競合が見られる地域でも引き続き高い上昇を示している。また、特にインバウンドが増加した観光地等では引き続き高い上昇を示しており、再開発事業等が進展している地域でも同様に、利便性や賑わいの向上への期待感から地価上昇が継続している。
 住宅需要も引き続き堅調で、地価上昇が継続。特に東京圏や大阪圏の中心部において高い上昇を示している。リゾート地域等でも、別荘・コンドミニアムや移住者、従業員向けの住宅需要を背景に、引き続き高い上昇を示している。また、子育てしやすい環境が整備され、転入者が多い地域では、堅調な住宅需要に支えられ、引き続き高い上昇を示している。
 その他の動きとしては、大手半導体メーカーの工場が進出した地域では、関連企業も含めた従業員向けの住宅需要のほか、関連企業の工場用地や事務所・ホテル・店舗の需要が旺盛となっており、引き続き住宅地、商業地、工業地ともに高い上昇を示している。また、好調なeコマース市場による大型物流施設用地等に対する需要を背景として、高速道路等へのアクセスが良好で労働力も確保しやすい工業地でも、引き続き高い上昇を示している。
 一方、令和6年能登半島地震等により大きな被害を受けた地域では地価の下落が継続しているが、下落幅は縮小した。




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