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森記念財団 今年の都市特性評価を発表 1位は5年連続で大阪 盛岡などの地方都市も躍進

2025.09.08 10:52

 森記念財団 都市戦略研究所(東京都港区)は、「日本の都市特性評価(Japan Power Cities /JPC)」の2025年度版を発表した。
 同評価は日本の都市を相対的かつ多角的に分析することで各都市の個性を明らかにするもので、2018年から実施されている。評価対象となるのは政令指定都市、県庁所在地、人口17万人以上の都市に該当する計136都市に、東京23区を加えた計159都市。それぞれの都市については「経済・ビジネス」、「研究・開発」、「文化・交流」、「生活・居住」、「環境」、「交通・アクセス」の6分野、各分野で細分化した87の指標の観点から、一部の指標でアンケート調査も交えてスコア化した。
 今年の合計スコアのトップ3は1位が大阪市、2位が名古屋市、3位が福岡市、4位が横浜市、5位が京都市となった。大阪市はこれで5年連続1位となる。前年同様に「経済・ビジネス」、「文化・交流」の2分野で高評価を獲得し、特に「経済・ビジネス」の指標において「労働生産性」で2位、「新規設立法人登記割合」で3位と高順位を示した。同財団の理事で明治大学名誉教授の市川宏雄氏は「国際イベントを行う都市は開催の2~3年前から都市の力が上がっていきます。今年のデータは万博開催前までのものなので、万博を行うことがプラスに働き、『経済・ビジネス』、『文化交流』の評価が受け入れていることが分かっています」と分析した。
 スコア2位の名古屋市は「研究・開発」で1位、「交通・アクセス」で2位と前回に引き続き両分野で高評価を獲得しているほか、育児教育関連の給付金制度の充実性から「生活・居住」分野でスコアを伸ばし1位を獲得した。福岡も「生活・居住」の分野で高評価を獲得し、全体3位と順位を上げた。
 またトップ10には入らなかったが、全体スコア30位の盛岡市、33位の松山市、34位の岡崎市の3都市は、2018年の評価開始以来着々と順位を上げているという。特に盛岡市はニューヨークタイムズが2023年に発表した「2023年に行くべき52カ所」の中でロンドンに次ぐ第2位に選ばれており、インバウンドからの注目度も高い。盛岡城跡公園や市内を流れる中津川・北上川の2本の川、古い街並みを残す紺屋町などの自然・文化遺産も豊富で、これからの発展も期待される。
 また、東京23区のランキングでは全体で港区が1位、千代田区が2位、中央区が3位を獲得。港区は、強みである「文化・交流」分野において2位から1位に順位を上げた。




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