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三井不動産 空飛ぶクルマの発着場整備へ 築地や伊勢志摩などで実証構想

2025.06.23 12:49

 三井不動産(東京都中央区)は17日、空のモビリティ用離着陸場であるバーティポートの開発・運営事業の立ち上げを着手すると発表した。社会実装に向け、トヨタ自動車(愛知県豊田市)、朝日航洋(東京都江東区)、ANAホールディングス(東京都港区)をはじめとしたステークホルダー、政府・地方自治体などと連携する。
 空のモビリティは次世代空モビリティや空飛ぶクルマなどとも呼ばれる。「電動」、「低騒音」、「垂直離着陸」などの特徴を持ち、新たな空の移動手段として市街地などに入り、移動時間の短縮や新たな体験創出などの価値を生み出すことが期待されている。
 空のモビリティの安全性や環境適合性の認証、機体開発が進められているなか、インフラの整備も進捗しつつある。発着場であるバーティポートもその一つ。三井不動産では、現在運営中の施設や今後予定している開発事業、リゾート・ラグジュアリーホテルなどでの実装検討を進める構想で、東京都中央区の築地市場跡地の築地地区まちづくり事業と、三重県・伊勢志摩地区のリゾート開発をバーティポートの実装検討対象プロジェクトに挙げている。
 また、物流施設「MFLP・LOGIFRONT東京板橋」に併設したドローン実証実験施設「板橋ドローンフィールド」との連携を進めるほか、将来的には日本橋などの都市部を含めたオフィスビル、商業施設、スポーツ・エンターテインメント施設、空港、駐車場などの幅広いアセットを用いて空のモビリティの価値が生まれるネットワークを構想し、バーティポート開発・運営の検討を推進していく構えだ。
 三井不動産は、2024年4月に策定したグループ長期経営方針「& INNOVATION2030」で、「産業デベロッパーとして社会の付加価値の創出に貢献」することを掲げている。自社で開発・運営するアセットや今後の開発プロジェクト等でバーティポートの整備を進めるとともに、離着陸管理等の新たな運営管理業務を担う体制づくりも具体化させる。開発から運営までの一体的な事業の構築を加速させ、日本における空のモビリティ産業の創造に貢献するとしている。
 空飛ぶクルマのインフラ整備に関しては、三菱地所(東京都千代田区)が2024年2月に「新丸ビル」屋上と臨海部をつなぐ航路で、ヘリコプターを使用した計5日間の運航実証を実施している。5月には「御殿場プレミアム・アウトレット」内にバーティポートを竣工させており、今秋以降に実機によるデモフライトを予定。また3月にはOsaka Metro(大阪市西区)が大阪・関西万博の会場近くにバーティポートを整備したものの、デモ飛行中に機体が破損し現在は飛行を休止している。




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