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新興ビジネス地区動向 福岡・百道 交通の便から誘致苦戦のTNCビル 「ゼネコン関連企業の入居でも成約は半分以下」

1995.12.01 16:25

 全国のビジネスエリア周辺部での再開発が続々建ち上がる中テナント誘致に苦戦を強いられている地区が多いと言う。中でも福岡地区の最大開発として注目を集めている百道は、早くもアクセスの弱さから厳しさが予想されている。現状を報告する。
 地下鉄1号線・西神駅から西へ徒歩20分程度の位置に予定されている、福岡市百道(ももち)地区の開発プロジェクトに、ここへ来て、竣工ビルが続々誕生し始めている。福岡エリアにおいて、最大規模のプロジェクトとなる、百道地区は、約5万坪もの敷地に、周辺部を含めて、計8棟ものビルが建ち上がる。いずれのテナントビルも、貸室面積で、2000坪クラスになる見込みで、福岡ビジネス地区に与える影響は大きいと考えられていた。しかし、交通アクセスの整備に時間がかかることから、テナント誘致に苦戦が伝えられている。現状での百道地区への交通手段には、車を使う他にない。博多駅から約13分、福岡空港から約20分と、都市高速道、百道インターチェンジを利用すれば、充分便利な地区だ。しかしいかんせん交通アクセスが車のみと言うのは、厳しいと言えるだろう。現在のところ、地下鉄1号線の延伸計画など、鉄道の直接の乗り入れの予定はなく、天神からはバス便を利用するなど、立地の不便さはいなめない。同地区には、NEC、日立などの自社ビルの他に、一般賃貸ビルも建設されているが、中でも注目なのが、TNC放送会館(仮称)だろう。
 TNC放送会館は、地元の放送局・テレビ西日本がオーナーとして、自社で4フロアを使用、その他の部分を賃貸スペースとして貸す予定。地上21階、ワンフロア面積約330坪の同ビルでは、1階から3階を商業施設として、8階から20階までをオフィスとしてテナント誘致している。募集価格は1万3000円前後。ゼネコン、関連会社など、まだ半分以下の成約率と言う。こうした事から、「さらに賃料のダウンは必至」(大手仲介会社幹部)との声も聞かれる程だ。




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