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川崎テクノピアビル KR豊洲など3棟の大型コンピュータビルは苦戦 全国に53棟のビルを運営 全体の稼働率は97%強

1996.06.01 10:26

 若干空室率拡大に歯止めがかかったとは言え、中小オーナーには冬の時代が続いている。そのような状況下、東京中心に53棟のビルを運営する、リクルートビルマネジメントが好調を堅持していると言う。その背景を探った。
 リクルートビルマネジメントが設立されたのは、平成2年3月。昭和58年8月創部された、リクルートのビル事業部を分社化させ、よりリクルートの情報部門を強化、自社ビル用地の確保、企画開発から、建築、管理、運営と、業務を特化させている。「当社では、全国に53棟ある、ビルの運営、管理を行っており、延床面積では、13万1000坪以上、テナント数は400社を数えます。運営ビルの内訳は、大型コンピュータービルが3棟、一般オフィスビルが50棟、その内サブリース物件が14棟、共同所有ビルなどが8棟含まれています。現在の全体の稼働率は、97%程度。その数字は、解約予告のスペースも入れての数字ですから、コンピュータービルを除けば、ほぼ満室の状況と言っていいでしょう」(リクルートビルマネジメントビル事業三部エグゼクティブプランナー・荒井秀夫氏)。荒井氏が話すコンピュータービルとは、リクルート川崎テクノピアビル(昭和64年竣工、貸室面積約7000坪)、TTランディック東陽町ビル(平成2年竣工・貸室面積約4000坪)、KR豊洲ビル(平成3年竣工・貸室面積約4000坪)の3棟の超ハイテクビル。これらのビルは、企画段階から、大型のホストコンピューター対応が可能なコンセプトで建設されており、下吹出(床下)空調。45センチのフリーアクセス。コンピュータ室電気容量、100KVA(以下TTランディック東陽町ビル設備概要)など各種の最先端機能を備えている。「極端に言えば、テナントは大型のホストコンピュータを持ち込み、配線をつなぐだけで、その日から業務が行える程です」(ビル事業三部エグゼクティブマネージャー・森山正実氏)と、森山氏が説明するように、他のビルとは一線を画している。その為、当初から誘致する企業も限られたが、竣工時はウエイティングする企業も出た程好調だった。しかし超ハイテクビルも、コンピューターの小型化、いわゆるダウンサイジングが進んだ事で、移転企業が出始めている。結果、現在ではコンピュータービルの全体稼働率は70%程度。これらのビルの空室率が、リクルートビルマネジメント全体の、空室率を多少上げていると言えるだろう。だが、こうした特殊ビルを除けば、100%近い稼働率を確保している背景には、70%弱のテナントを自社で付けている営業力、また既存テナントからの情報収集及び分析力、つまり、マーケティング能力のあるプロ集団を養成している事が大きい。特に募集賃料の値付けや、早めの賃料値上げ交渉、関連企業の増床ニーズ、移転テナント情報の把握など、早めの対応が、いい結果をもたらしているようだ。




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