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噂のスクランブル 都心店舗で「売上げ歩合制賃料」が増加 保証金ゼロで入居促進効果 カラオケ、ゲーム店等でオーナー取り分4~5割

1996.07.01 15:16

 ここ数年ビル市況の低迷・混乱で、オーナーとテナントの間の契約形態にも様々なスタイルが出てきている。中でもこれからの契約手法の新たな一つの方向となりそうなのが、商業店舗を中心としてにわかに見られる「売上げ歩合制賃料」だ。
 例えば新宿東口の一等地に建つある洋品店のビルには先頃、大型CD・ビデオレンタルチェーンが入ったが、入居時の保証金はまったくナシ。数字的な内訳は不明だが、完全な売上げ連動制がとられている模様。このビルの場合は「あまりに一等地過ぎて」、仮に保証金を算定することになると、莫大な金額になってしまう(地元不動産業者)ことも背景にあったようだ。
 アミューズメントやカラオケではこうした形態がかなり一般的となっている。
 例えばセガやナムコといったところが、新たにビルインタイプでゲームセンターを開こうという場合、オーナーは場所(ビル)を提供し、そして開業後の電気代等の光熱費を負担する。一方、ゲーム会社側は、ゲーム機などの機材一式や開業後の人件費を負担し、運営も受け持つ。空調を増強する場合など必要設備の拡充などもゲーム会社側が持つケースが多いようだ。
 こうした体制を取った上で、開業後に売上げの4割をオーナーが賃料相当分として取り、残りがゲーム会社の取り分、というのが一般的なスタイルのようだ。
 一方、カラオケの場合は、カラオケ会社が機材を持ち込み、運営を担当した上で、売上げはオーナーと折半という配分が多い。いずれにせよ、ここまで来ると、オーナーとテナントというよりは、運命共同体とでもいうべきスタイルだ。
 最近、都心のビルへの出店が相次いでいる青山ブックセンターなどの大型書店でもこうした歩合賃料が増えている模様だ。
 オフィステナントには簡単には導入が難しいスタイルだが、双方のメリットを考えれば検討の価値は大いにあるといえる。  




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