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ペトロルブインターナショナル 店頭公開契機に自社ビル購入へ 延床250坪、13億円程度の物件を検討

1996.07.15 14:12

 業績好調企業を中心に、本社ビルを購入するケースが増えている。昨年3月店頭公開を果たした、ペトロルブインターナショナルは、まさに自社ビルの取得に動いている最中。同社の現状を報告する。
 ペトロルブインターナショナル(東京都千代田区・寺田縉太郎社長)は、昭和53年設立の潤滑油、グリース、その他の石油製品、石油化学部品等の輸入及び、国内製造販売をしており、外資が資本参加をしている会社。
 「当社の株式の約30%はBP、いわゆるブリティッシュ・ペトロリアム社が保有しており、ペトロルブインターナショナルの製品も、BPの潤滑油のソールエージェントとして、BP自動車用品の販売業務などを中心に手掛けています。当社が、自社ビル購入を検討し始めたのは、昨年3月、東証に店頭公開をしてからです。購入に当たっては、まず公募による増資で、運用資金が増えた事です。さらに、現在テナントとして入居している、年間の家賃コスト程度の支出で、ビルを購入する事が出来れば、将来的に会社を運営していく上でも、ベストと判断しました。又スペース的にも、ここ数年で増床しなければならない事も要因の一つです」(ペトロルブインターナショナル常務取締役・大橋健氏)
 同社の場合、現在東京都千代田区麴町4丁目に建つ、賃貸ビルの1階をショールームスペースとして、2階を事務所として使用している。両方の延床面積合計は、約140坪程度。
 賃料は坪当たり1階が若干高めとなり、2万5000円。2階が2万3000円。共益費が4000円となる。
 つまり、1ヶ月に400万円、年間では5000万円弱のコストがかかる計算だ。無論オーナー側でも約1年半前の更新時には、2割程度の賃料の値下げを行っているが、バブルのピーク時には、1階が3万3000円、2階が3万円だった家賃からすれば、まだ高い賃料水準を確保していると言えるだろう。こうした賃料設定が、テナント側のビル購入へのきっかけの1つにもなっている事は言う迄も無い。
 「私共は、潤滑製品の販売を行っている会社ですから、ショールームのスペースを確保しなくてはならない事を含めて、ビルの立地は、購入する際の重要なファクターです。また、金額的にも、返済計画上、多大なリスクを抱える様な物件を買う訳にはいきません。ですから、なかなか条件に合った物件が無く、これまでずいぶん都内各所のビルを物色したのですが、まだ購入出来るものは見つかっていないのが現状です」(大橋常務)
 同社では、これまで、延床面積で250坪程度、金額的には、12億から15億円程度の既存ビルを中心に購入を検討して来た。特に立地に関しては、同社の業態から、幹線道路に面している場所、たとえば、国道246号線沿いにターゲットを絞って探している。これには、同社の製品の宣伝・広告においてはやはり若者、それもカーマニアにアピールする必要がある為。そういった背景から、まずは商品を知ってもらうには、それなりの好立地が要求される事になる訳だ。
 大橋常務によれば、延床で400坪、金額にして17~18億円の売物件は246号線沿いにも有り、交渉を進めていた事もあったと言う。しかし、引っ越し費用、オフィスの内装設備、さらに購入にかかる税金等を考えれば、購入費用とは別に、2億円程度は余計に見なくてはならない。つまり、資金的な面から、断念せざるを得なかったようだ。
 いずれにしろ、業績好調企業を中心に、自社使用目的のビル購入の動きは、最近とみに顕在化して来ている。
 来年度には固定資産税の見直し時期に当たる為に、さらにビル購入など、不動産売買は活発化しそうな様相だ。




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