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三井不動産 木造ビルの開発を加速 木造建築ブランド「&forest」設立

2025.04.28 11:45

物流・オフィス・ラボなどの複合施設も
 三井不動産(東京都中央区)が、木造ビルの開発を加速させている。4月22日には木造建築ブランドの名称を「&forest」に決定するとともに、物流施設、オフィス、ラボなどからなる木造複合施設の着工を発表した。
 三井不動産グループでは北海道に約5000haの森林を保有しており、持続可能な森林経営による「終わらない森」創りに取り組んでいる。「&forest」には「『終わらない森』創り」とともに木造化による木材活用を推進し、自然資源を循環させ、未来につないでいく街づくりに取り組んでいくという思いを込めたという。「日本橋本町三井ビルディング&forest」と名付けられた木造賃貸オフィスビル第一号物件は、敷地面積約2500㎡、延床面積約2万8000㎡、木造・鉄骨造の地上18階建て。日本最大・最高層の木造賃貸オフィスビルとして、保有林を含む1100m3超の国産木材を構造材に使用。内装・仕上げ材にも積極的に国産木材を使用している。竣工は2026年9月を予定している。
 オフィスフロアは専有面積約1180㎡。内装は木の構造部材を現した設えとし、働きながら木に触れ、香りを感じられる執務環境を創出する。吹き抜けのエントランスホールの壁にもグループ保有林の木材を使用。天井には三井ホームが保有する木接合技術を活用する。
 同じく東京・日本橋では同社2棟目となる木造賃貸オフィスビル「(仮称)日本橋本町一丁目5番街区計画」も開発中。敷地面積約2000㎡、延床面積約1万8000㎡、地上11階地下1階で、国産木材を積極的に活用することによる建築時のCO2排出量削減に加え、運用時における省エネ・創エネ施策を積極的に取り入れ、1棟目を超える環境性能の向上に挑戦していくとしている。

物流・オフィス・ラボ 複合施設も木造で
 オフィスビル以外の木造建築にも取り組む。神奈川県海老名市では、物流施設を主にオフィス、ラボなどを併設する複合施設「三井不動産インダストリアルパーク海老名(MFIP海老名)&forest」を着工。2026年6月末の竣工を予定している。
 開発地は神奈川県海老名市中央。圏央道「海老名」ICから約2・8km、小田急線・相鉄線「海老名」駅から徒歩9分、JR「海老名」駅から徒歩11分。海老名市役所に近接する都市型の複合施設として開発される。
 建物は敷地面積約1万9822㎡、延床面積約4万219㎡、鉄骨造一部木造地上4階建て。物流用途に加え、建物の約半分をオフィス、研究施設、ラボなどのマルチユーススペースで構成する複合業務施設となり、複数テナント型の物流用途を含む施設として国内で初めて国産木材を建物構造の一部に採用。木造柱の構造材の一部などにグループ保有林から採取したトドマツ材を使用するほか、木鋼ハイブリッド梁の被覆木材や天井などの仕上げ材・内装材にも保有林の木材を積極的に活用する。
 国産材を建物構造に採用する共用部は6・6mの特徴的な階高と10・8m×13mの空間で、木造柱+木鋼ハイブリッド梁(2時間耐火)で建設。共用部に木造構造や木質デザインを積極的に取り入れることで、鉄骨造と比較して約40%のCO2排出量低減を見込んでいる。
 メインエントランスは、木と植物の風合い、香りを感じられる空間とする。壁面には稲穂を表現したアートを設置。欄間職人が伝統技術を生かして造形し、人と自然の調和を表現。
 3階ラウンジの内装・仕上げ材の一部にも保有林の木材を使用。また、利用する木材が生育する北海道美瑛町エリアの森林で音源を採取した音をハイレゾ空間音響システムを用いて再現する。
 三井不動産グループは、今回設立した木造建築ブランド「&forest」をはじめ、三井ホームの木造化技術ブランド「MOCX(モクス)」など、各施設で木材活用を行ってきた。グループの「&マーク」における「共生・共存・共創」の理念のもと木造化による木材活用を推進し、自然資源を循環させ、未来につづく持続可能な街づくりに貢献していくとしている。




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