不動産トピックス

クローズアップ リサイクル編

2009.10.05 10:26

 省エネルギー法を機会としてオフィスビルばかりでなく、テナントとなる企業も環境負荷の見直しを進めている。循環型社会の構築という社会的責任もあるが、同時にコスト削減も行わなければならない。今回は、そうした時代の要望に応える、オフィスにまつわるリサイクルに取り組んでいる企業を紹介する。

オフィスバスターズ 空室にオフィス家具を配置した「モデルオフィス」 内覧希望者からの反響も増え条件交渉上も有利に
 中古オフィス用品の買取・販売を行っているオフィスバスターズ(東京都千代田区)では今春からオフィスビルの空室に中古オフィス用品を配置するサービス「モデルオフィス」を開始した。  これにより入居を検討している企業が空室を内覧した際、実際に使用しているイメージが浮かびやすい上、もし入居が決まれば展示されている家具をそのまま買い取ることもできる。買い取りを希望しなくても同社は在庫を引き取るので特にコストは発生しない。
 実際に「モデルオフィス」と銘打って公開したテナント募集中の物件では「空室あり」と看板を貼るよりも多くの見学者が現れるなど、反響は大きいという。また、条件交渉時にもオーナー側が家具を買い取りテナントに提供するというオプションを提示できるため、従来のフリーレントや値引き以外の交渉材料を作る事ができる。
 「こうしたサービスの背景には、企業の縮小案件が増えたため、程度の良い中古オフィス家具の在庫が増加したことがあります。同時に空室率も上昇していることから、差別化を図ろうとする所有者の協力を得て、このようなサービスを始めました」(藤本氏)
 入居者にとっては廉価で家具を購入できるうえ、退去するオフィスの原状回復時も同社が家具を買取るため、移転費用を抑える事ができる。こうした「モデルオフィス」化を希望するオーナーの反響も多く、今後も事業を拡大する予定だ。

リスタ リサイクル家具で低コスト移転 多種多様な要望にも全国で対応
 中古オフィス家具の販売を行うリスタ(横浜市南区)では、中古オフィス機器を用いたオフィス移転サービスを行っている。同社は事務機器のレンタル事業を行う広友リースから昨年リユース・ショップ事業が独立したもので、オフィス移転の工事設計から廃棄物処理まで、全国各地で対応できることが強みだ。
 「移転時の総務担当者の負担は非常に大きいものですが、当社のグループでは工事の現場事務所やイベント、モデルルームといった一時的な施設の設営のノウハウを持っているため、オフィス移転の際に必要な手配をほぼ行うことができます」(荒島氏)
 まずオフィス移転に必要となる設計施工はもちろん、家具については同グループのレンタル品であったものから販売するため、移転費用の低減が可能だ。同グループには商社機能もあるため新品の購入もあるため新品の購入も可能なうえ、既に使っている家具の修理・洗浄を行うことまででき、ニーズやコストに合わせた提案を行うことができる。
 「当社で取り扱っている商品はほぼすべてが企業向けのレンタル品としてつくられているため耐久性が高く、品質の管理も十分に行われています。事前にリユース家具を確認したいというお客様には、全国16カ所に展開している店舗で小口販売も行っているため、こちらで確認していただくこともできます」(荒島氏)
 リサイクルによる環境負荷の低減が常識的にうたわれるようになったが、リサイクル家具の販売は数や種類に制約があると思われがちだ。しかし、全国どこでも、多種多様な注文にも、大量の注文にも応えることができる同社のようなサービスは今後も需要を増していくことだろう。

リファインバース 独自技術でタイルカーペットをリサイクル 循環社会の構築に大手オーナーも積極的
 これまで埋立処分するほかなかったタイルカーペットのリサイクル技術を確立したのがリファインバース(東京都中央区)だ。
 オフィスの退去時のみならず、内覧用にも安価なタイルカーペットを貼っておき、入居時には貼りなおすなど、これまでオフィスにおけるタイルカーペットは大量に使われるものの、繊維部分と塩化ビニル樹脂が混ざっているため再資源化はできないとして捨てられるだけだった。
 同社ではタイルカーペットを専用の切削装置により分離、粉体化することでリサイクルを可能とした。再生された繊維部分はメーカーとの共同により再びタイルカーペットに使用することで、95%以上のリサイクルを実現。エネルギーの全使用量では石油から製造する場合と比較して、CO2排出量を90%以上抑える事ができ、同社の再生原料を使用したタイルカーペットはエコマークの認定を受けている。ビルオーナーもこうしたリサイクル商品の採用に積極的だ。森ビル(東京都港区)では今春から廃棄するタイルカーペットを使用することで100%リサイクルシステムを完成された。
 「サステナブル社会の実現に向けたオーナー側の協力もあり、タイルカーペットのリサイクルシステムが出来上がりつつあります。さらにこういった実績を積み上げ、省資源化に貢献していきたいと考えています」(資源開発部・事業開発部 部長 藤原 敬明氏)

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