週刊ビル経営ビルモール

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☆不動産業界トピックス2018年7月9日
▼NTT都市開発ビルサービス/NTTテクノクロス ビル管理の”勘”を見える化「建物管理分析サービス」
 ビルのテナントや利用者からの不満が出やすいのは、エレベーターやトイレの混雑だといわれる。また空調の温度管理やビル内が清潔に保たれているかなども、非常に気になるところ。
 「ビル環境を、できるだけ心地よい環境にしたい」。そんなニーズに応えるために「建物管理分析サービス」を開発したのが、NTT都市開発ビルサービス(東京都千代田区)とNTTテクノクロス(東京都港区)だ。
 「人の動きや流れの予測は、アナログな手法や建物管理者の『勘』や『経験』を基に行われてきました。つまりこれまではその『勘』や『経験』で、ビルの管理を行ってきたといえるでしょう。一方でビル管理には、昨今の人手不足や高齢化の影響があり、何とか効率化していかなければなりません。そのためこの『勘』や『経験』を見える化し、改善していきたいという想いがありました」と語る、NTT都市開発ビルサービスの船津岳彦氏。
 データの収集は、二社共同で行なっていた。集めたデータを解析するのは、主にNTTテクノクロスが担った。また解析データに基づいた問題の有無や改善策の提案、顧客へのフィードバックはNTT都市開発ビルサービスが行っている。それぞれエキスパートの分野を生かし、今回の商品化に至った。
 人の流れや混雑時の建物利用状況を把握するために、分析対象に応じてカメラやセンサー、Lidar(レーザー光を使ったセンシング)など、各ビルに応じた最適なデータ収集方法を選ぶ。たとえばビル内の防犯カメラに映し出された情報から、混みやすい時間帯はどこかを明確にする。
 「ビルの一角にカメラを設置し、廊下の通行人をチェックします。一日当たりの人数を明らかにした上で、廊下の左右や真ん中など、どの部分を歩いたのか。その人数を出すことも可能ですし、また軌跡についても算出することができます。こうした結果から廊下のどの部分を、いつ重点的に清掃していけば良いかが見えてきます」と話す、NTT都市開発ビルサービスの山ア麻佑子氏。
 同社は「建物管理分析サービス」を商品化するために、2018年の1〜3月に「品川シーズンテラス」で実証実験を行った。同ビルを管理する品川シーズンテラスビルマネジメント(東京都品川区)は、NTT都市開発ビルサービスの親会社であるNTT都市開発のグループ会社。2015年の竣工当時から、積極的にICTの取り組みを行ってきた。  竣工当初からビルメンテナンス会社の慢性的な人手不足もあり、求人を行っても人員が集まりにくいという状況もあった。次第に品川シーズンテラスのテナント稼働率も上がってきたものの、商業施設・喫煙室・荷捌場の混雑などがあった。こうした背景から、実証実験に快諾が得られたのだという。
 なお「建物管理分析サービス」の価格は、50万円から。顧客は、ビルオーナーはもちろんビル管理会社、清掃会社や警備会社などを想定している。ゆくゆくはテナントやビル利用者についても、ターゲットにしていきたいと話す。 「我々はお客様のお悩みに合わせたデータを取っていきますが、イベントのようなワンショットでの使い方も可能です。当サービスはビルの防犯カメラだけでなく、個別でカメラを設置し、分析することもできるので、比較的安価ですみ、使いやすいと思います」(船津氏)。
 確かにイベントの際に限り、必要な人員やコスト対策も考えたいというビルオーナーも少なくない。こうして得られたデータ解析により、コンサルティングも可能だ。
 「親会社が開発した大規模・中小規模のビルや外部のお客様のビルの管理を行っていることによるノウハウに加えて、我々はNTTグループなので、さまざまなグループ会社のデータや通信の力を借りることも可能です」(船津氏)。  これを受け、NTTテクノクロスの除補由紀子氏は、「たとえばオフィスビルの平日における特徴的な利用状況はどうなのか、それに基づいて利用状況の予測を行っていく。これはAIの範疇ですが、我々が持つ技術でご支援できると考えております。今後はAIの活用も考えられるのではないでしょうか」と話す。
 「建物管理分析サービス」で得られたデータは、改修のための資料になる。また改修の際、どういったつくりや仕組みを用意すればいいかなども明解になる。ひいては、新規のビルの開発や設計にもフィードバックできそうだ。



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