◎改修ポイント:「美術館」の歴史・文化を継承しながら、開放的かつ機能的なオフィス空間を生み出した


◎所在地
東京都港区新橋5-22-10

◎建物規模
地上8階地下2階

◎専有面積
445.05㎡

◎竣工
昭和49年2月

◎保有者
松岡地所

 松岡地所(東京都新宿区)は創業84年を誇るビル賃貸の老舗。今年6月、保有する1棟「松岡田村町ビル」のリノベーションを実施した。昭和49年に竣工した同ビルの6階~8階ならびに1階エントランス、エレベーター等をリニューアルした。
 最大の特長は8階の専有部だ。シンプルな外観の正統派オフィスビルに、天井高5.2mという開放的な執務空間が誕生。かつては松岡地所創業者のコレクションを展示する美術館として運営されていた。当時のはめ込み型照明からLEDの吊り下げ型デザイン照明に変更。天井嵌め込み式の空調は室内全体に行き渡るように小型サーキュレーターを複数設置。OAフロアは標準仕様だが、タイルカーペットを撤去した野性味あふれる空間に生まれ変わった。
 営業部主任の佐藤穂高氏は「美術館の歴史を最大限生かしながらビルの価値向上を図った」と強調した。基本設備は最新鋭のものを導入したが、内装の造作はテナントの「こだわり」が反映できるように自由度の高い仕様としている。  
 一方、エントランスホールは不揃いだったダウンライトを均一にした。既存の床材である大理石を研磨し直したことで照明の反射度が高まり、エントランス全体のイメージが一新。またエレベーターのかご内には、銅板に模様を浮き上がらせる特殊技法を駆使した特注プレートを導入している。デザイン性のみならず、結果として耐火性能が向上し傷や汚れも目立ちにくくなっている。
 リノベーションを企画・設計したのはブルースタジオ(東京都中野区)。設備更新による従来型のバリューアップでは機能維持にとどまるが、今回は「『地域に求められるビルの形』を突き詰めたリノベーションに努めビルのブランディング化に挑戦した」としている。また1階の入口付近に植栽を施したが、50種類以上の植物を配し「里山」を表現。植栽の変化によって季節の移り変わりを楽しめる仕掛けを施した。

(週刊ビル経営2016年10月3日号掲載)
松岡地所 「松岡田村町ビル」