◎改修ポイント
古書店街というエリアの特性を生かし、インテリアや内装などに書籍を活用したシェアオフィスをセルフプロデュース

◎所在地
東京都千代田区神田神保町2-12-3

◎建物規模
地上7階

◎フロア面積
約100㎡

◎所有者
安富

◎竣工
昭和49年

 「安富ビル」を所有する安富は大正期に畳屋として創業した歴史を持ち、同ビルの竣工に伴って業務内容を貸ビル業へと移行した。かつては海外の学術洋書を取り扱う大手書店の事務所が入居していたという同ビルでは、テナントの移転に伴って経年劣化したビルで発生した空室の有効活用という問題に直面した。そこで同社の現代表・安富太郎氏は、従来まで行ってきた一般的なオフィスビル経営のビジネスモデルとは異なる、新たな取り組みへのチャレンジを決断した。
 そして平成25年4月、「安富ビル」の4階フロアを活用したコワーキングスペース「EDITIORY(エディトリー)」がオープンした。「EDITIORY」は企画から安富氏がマネジメントを担当。施設内は神田神保町の古書店から譲り受けた商品として適さなくなった古書を壁紙として使用。壁一面に貼られた古書には神保町周辺の古書店の位置図が描かれている。また、雑誌を照明カバーとして活用するなど、これらの内装デザインも安富氏のプロデュースによるものだ。
 「EDITIORY」の利用者の年齢層は幅広く、街の特性からフリーライターやデザイン関連の利用者が比較的多い。その後、安富氏は2階フロアをイベントスペースとしてオープン。直近では3階フロアをシェアオフィスとして改装し、すでに稼働がスタートしている。現在では安富氏が「EDITIORY」を通して目指す新たなワークスタイルに共感した新進気鋭の企業が5階及び6階にそれぞれ入居中で、2階のイベントスペースでは「EDITIORY」の利用者らが参加する勉強会やセミナー、キッチン併設のため料理教室など幅広いジャンルとのコラボレーションイベントが企画されている。また、安富氏は地元である神保町という街とのつながりも「EDITIORY」を介して積極的に行っており、地元地権者や不動産会社らが集っての会合なども行っている。

(週刊ビル経営2016年5月16日号掲載)
安富 「安富ビル」
▼感度の高いクリエーターから好評のシェアオフィス