◎所在地
大阪府大阪市中央区久太郎町3-1-16

◎建物規模
地上3階地下1階

◎延床面積
638㎡

◎所有者
丼池繊維会館

◎竣工
大正11年

 「丼池繊維会館」は大阪の繊維問屋街として知られる丼池筋の一角に立地する大正11年竣工のレトロビル。もともとは銀行の店舗として建てられたが後に地域の人々に買い取られ、地域サロンやテナントビルとして利用されてきた。
 タイル張りで水平ラインを強調する外観は今でこそレトロビルとしての特長とされているが、以前はさほど評価されず平成9年には鋼製のサイディングがなされて独特の外観は損なわれてしまっていた。しかし近年、近代建築の価値が見直されるようになってきたことから同ビルも再評価されるようになり、「近代建築に興味のある人からは『このビルはいつ再生されるのか』という声が寄せられていました」と代表取締役の木戸一夫氏は改修(今年3月完了)語る。
 そうした声が寄せられる中で、地域の資産である「丼池繊維会館」を有効活用し、多くの人が集まる建物とすることで丼池筋の地域活性化に役立てようという視点から同ビルのリノベーションが決定された。  リノベーションにあたっては複数の設計会社より寄せられた改修案の中から、大阪を中心に既存不動産の再生を多く手掛けるマットシティ(大阪市中央区)のプランが採用された。改修によってサイディングは外され、失われていたタイル張りの外観を取り戻した。内容も天井や壁などを取り外し、時代ごとに施された手業の表情をできるだけ残すようにされている。その一方で「ありのままを認める」というコンセプトのもと、昔の姿に戻していくだけではなくビルの経てきた歴史を踏まえ、あえて改修の痕跡が残るようなデザインも取り入れられている。  
 また、マットシティの代表取締役の末村巧氏の「2nd cycle」という考えのもと、ビル内にはかつてほかのレトロモダン建築で使われていたプロダクトが取り入れられており、2階ホールのキャビネット建具は塩野義製薬研究所の研究室に設けられていた天袋の建具が使われている。

(週刊ビル経営2016年9月19日号掲載)
丼池繊維会館 「丼池繊維会館」
▼サイディングが施されていた改修前(中)、また他のレトロモダン建築で使用されていたプロダクトを再活用している(下)